子どもを認知する

日本の民法では、嫡出でない子を認知できることになっています(民法第779条)。

大別して、任意認知と強制認知があります。任意認知は、市役所などに届け出るものです。強制認知は、裁判などによるものです。

ここでは、任意認知について話を進めてまいります。

また、認知に関してビザや国籍が問題になるのは、「父が日本人で、母が外国人」というケースになりますから、ここでは、日本人父が任意認知する場合を考えてみます。

交際相手の外国人が妊娠した

お相手の方と結婚できる場合とできない場合があると思います。

 

出産までに結婚できる場合

なるべく早く籍を入れることができるといいですね。なお、結婚したとしても、外国人配偶者が日本国籍を自動的に取得するわけではありません。戸籍上は、婚姻についての記載のところに配偶者の名前や国籍が記載されます。

 

婚姻中に生まれた子は嫡出子となります。父が日本人である場合、出生によって日本国籍を取得し、父の戸籍に名前が載ります。外国人母は、子どもの母として戸籍に名前が載ります。婚姻のときと同様、外国人母は日本人との子を産んだことによって日本国籍を取得するわけではありません。

 

外国人母の本国の法律によっては、子どもが母の国籍も取得することがあります。

この場合、子は、二重国籍者となります。日本は二重国籍を認めない国ですが、生まれながらに二重国籍者となった人は、22歳までにどちらかの国籍を選ぶようになっています。法律上は、22歳までに日本国籍を選ばない場合、日本国籍を失うことになっています。

日本で生まれた二重国籍の子は、22歳までに国籍選択をすれば大丈夫です。しかし、日本国外で生まれた二重国籍の子は、国籍留保の届をしておかないと、日本国籍をなくしてしまいます。通常は、在外日本大使館に出生届を出すと思われますが、国籍留保の意思が書ける出生届出書が用意してあるようです。

 

出産までに結婚できない場合

何らかの事情で、お相手と結婚できない場合は、父親の住居地の市区町村役場に認知届を提出することで認知します。

必要書類は、ケースバイケースです。弊所にご相談ください。必要書類をご案内します。日本語以外で書かれた書類には和訳が必要です。英語と中国語の書類は、弊所で和訳いたします。

 

認知届を出すタイミングによって、そのあとのことが違ってきます。

 

【胎児認知】

出産前、胎児である間に、認知する方法です。父親の住居地の市区町村役場に認知届を出します。

胎児認知された子は、出生のとき、日本国籍を取得します。そして、子の戸籍が編製されます。

 

ただし、母親が子の父以外の男性と結婚している場合や法律上の父の嫡出推定が及ぶ場合には、認知届を出しても受理されません。出生後、法律上の父(母親の結婚相手)との父子関係、つまり、嫡出関係を否定しなければなりません。父が申立人になって嫡出否認をするか、あるいは、母子が申立てになって親子関係不存在確認を求めるか、のいずれかの手続きになります。どちらも家庭裁判所に申し立てます。嫡出関係が否定されると、出生前に出していた胎児認知届が届出日(出生前)に受理された扱いになり、子は日本国籍を取得します。

 

【任意認知】

出生後、認知する方法です。父親の住居地の市区町村役場に認知届を出します。

父親の戸籍には、認知したことが載ります。子は、出生によって日本国籍を取得することはありません。

 

今の法律では、20歳までなら、国籍取得届を提出することで日本国籍を取得することができます。20歳を過ぎた場合は、帰化の手続きを経て日本国籍を取得することになります。年齢に関する条件は2022年4月1日から18歳未満に引き下げられます。経過措置はありますが、早めの届け出をおすすめします。

届出とはいえ、多くの書類が必要になります。必要書類は、ケースバイケースです。弊所にご相談ください。必要書類をご案内します。日本語以外で書かれた書類には和訳が必要です。英語と中国語の書類は、弊所で和訳いたします。最近、弊所は、任意認知された子の日本国籍取得サポートのご依頼を多くお受けしています。